世界遺産へと注目されるキリシタンの足跡
「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」は、2007年の初頭にユネスコ世界遺産暫定一覧に登録されました。
大浦天主堂と関連施設、出津教会堂と関連施設、大野教会堂、日野江城跡、原城跡、黒島天主堂、田平天主堂、平戸の聖地と集落(春日集落と安満岳)、平戸の聖地と集落(中江ノ島)、野崎島の野首・舟森集落跡、頭ヶ島天主堂、旧五輪教会堂、江上天主堂と長崎にある多くのキリスト教関連施設とともに、天草にある天草の崎津集落が2012年、その「長崎の教会群」の構成の中に加えられました。熊本県・長崎県ともに世界遺産登録推進を進めております。
この教会群の構成に選ばれた理由は南蛮文化の項でもご説明しておりますが、キリスト教・キリシタンが非常に大きく影響しています。
「伝来」「繁栄」「弾圧」「潜伏」「復活」
「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」のストーリーの価値は、16世紀中頃の西洋文化とキリスト教の「伝来」、 全国での「繁栄」、17世紀の禁教令と「弾圧」、ひそかに信仰を続けた「潜伏」期、そして19世紀の開国とともにキリスト教が解禁と「復活」により、西洋と日本の伝統・文化が融合した教会の建立です。
その中でも、「天草の崎津集落」は、【潜伏】の時期を説明する際重要な意味を持っています。「ひそかに信仰を続けた潜伏」が高い評価を受け「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」の構成資産に選ばれ、特に顕著な価値を示す「崎津諏訪神社」、「崎津教会」、「両者をつなぐ道」、「道に面した家屋」を「天草の崎津集落」のコアゾーンに設定し、旧崎津村の範囲を、コアゾーンを守る緩衝地帯としています。
隠れキリシタンという道をたどった天草の民
禁教令以前はキリスト教を信仰していましたが、禁教下においては棄教し仏教や神道に転宗する人がいる一方、潜伏キリシタンとして信仰を続ける人もいました。
それが隠れキリシタンと呼ばれる人たちです。
崎津地区を中心に現在も続く信仰の形として崎津と大江には天主堂があります。崎津天主堂は他に類を見ない特徴として「畳敷き」というものがあり、これもキリスト教として公に信仰できない時期の名残です。また現代においても、正月のしめ縄飾りなど和の風習の中にキリスト教の信仰をあらわすため独特の形状になって残っているものもあります。
崎津天主堂周辺情報
崎津集落は古くから漁村として続いていた集落です。観光バスなど天主堂にこられる人のためにインフラ整備はすすんでいるものの、歴史的価値のある場所や人々が住むところは過去の形を残しているものが多くあります。また観光に来ていただいた方が楽しめるサービスも各所にございます。
集落の中にある崎津天主堂 | 観光に来られた方が自由にお使い頂ける休憩所 |
お墓にはキリスト教を信仰する十字架が刻まれています | 船着き場の「かけ」 |